福岡県新障害者プランへの意見及び施策の提起
2003年11月10日
福岡県脊髄損傷者連合会
はじめに
1.地域福祉施策の現状と課題
【10の疑問】
1)県・市町村の基盤と機能と福祉施策の周知、計画と実行性における・地域格差の実態をどのように考えているのか。
2)福祉制度・福祉サービスは周知されているか。またその利用状況にどのような問題と課題があるのか。支援費制度で生活はどのように拡充実されたのか。
3)県、市町村における各「障碍」者団体の組織的機能(基盤)と福祉施策の情報の提供及び制度や福祉サービスの活用の実態と研修などの実施について、どのように把握しているか。
4)各団体のピアサポート・カウンセリング・ケアマネジメント等の体制と実施状況と研修等について
5)県・市町村の福祉施策(事業プラン)に、当事者の主張や要望はどのように取り入れ実施してきたのか。(具体的な事業計画の決定に当事者が参画したのか。)
6)住環境・公共交通機関などのバリアフリー化に当たって、どのような施策を実施したのか。また、県民に対しての啓発及び小学校・中学校・高校・大学などにおける福祉に関する学習・研修の事業計画とその内容はどういうものか。(福祉のまちづくり条例の実行とその成果について)
7)雇用・就労に関して、職域の開発・就労に対する支援施策は、どのように実施してきたのか。
8)予防・医療・リハビリテーションの地域的保障について、如何なる施策を行ってきたのか。
9)情報バリアフリー化について、どのような施策を行い推進してきたのか。
10)福祉用具の開発とユニバーサルデザイン化の施策はどのように図ってきたのか。
2.(新)地域福祉支援計画の趣旨と位置付け
1)基本方針は「障害ある人もない人も誰もが相互に人格と個性を尊重し、支え合う共生社会の実現」とありますので、これまでの福祉サービスを受ける対象者という受身的立場ではならないと考えます。
言いかえれば、障害者、児等が「障碍」などを克服した上で地域社会に戻るという発想ではなく、高齢者、「障碍」者、児を含めたすべての人が地域社会の当然の一員あるという視点が重要です。また、支援が必要な人の介護等を家族のみが背負うことなく、社会的仕組みや地域社会で負うことを目指すことを周知化することが重要です。
従って、第一には、7つの計画骨子の各事業項目の進め方と具体的実施について当事者の参画をえて施策の検討をして決定を行うよう求める。そのために各「障碍」者団体は、事業担当者を選任し、各事業の「プロジェクトチームを構成」して施策を協議して行うこと。
第二には、事業実施にあたり各「障碍」者団体の参画及び事業内容に応じて、団体の協働(横断的)での「委託事業」を図ることを求める。(例えば、相談事業など(110当番)の見なおしなど)
2)今後、県・市町村が地域福祉計画を策定するに当たっては、@対象者横断的A企画段階から当事者を含めた県民と行政の協働といった手法に基づいて行うことを求める。(形式的に意見を聞くというものではなく)
3)「障碍」のあるなしにかかわらず、子供の頃から共に育ち、共に遊び、共に学び、共に働くというノーマライゼイションの意識の醸成を図る教育を行うことが重要である。
4)小学校・中学校・高校において、学校での福祉・人権教育に充実を図る。講師は当事者や地域福祉総合コーディネータが担当する。当事者においては、講師養成を図り講師派遣のプロジェクトチームを構成して当たることが重要である。
5)「ユニバーサルなまちづくり基本方針」は、単なる向学的な読み物とするのではなく、施設、道路、住宅等の種別毎とに県民一人ひとりや各団体、行政が取り組むべき方向性を具体的に示したものとする。
6)「障碍」者など職場適応を容易にするため、職場に派遣され、決めこまやかな人的支援(技能に関する指導や「障碍」者の特性に関する理解の促進に係る援助等)を図ることが重要である。
3.当面する緊急課題について
新障害者プランは障害者福祉の変革(支援費制度導入)に伴い、旧障害者プランと同じ手法で策定してはなりません。特にソフト面は支援費制度を十分に考慮した障害者プランでなければなりません。支援費制度は15年4月から始まっており、まずは支援費制度の状況把握を行うことが大切といえます。支援費制度導入により障害者福祉サービスの地域格差が是正されるはずでしたが、実際は措置制度時より更に地域格差が進んでいるのが実情です。その状況をふまえた上で障害者プランの作成が重要と考えます。
また、国の施策の遵守ではなく、県独自の施策や地域性を考慮した障害者プランが重要だと考えます。上記のような状況をふまえ下記の提案をいたします。
【具体的施策の検案事項】
1.支援費制度の市町村ごとの実態調査を行う。
(市町村)・調査の内容/広報の周知徹底、認知度、利用実績、上限時間、サービス事業所の把握、不備等があれば指導徹底を行う。
2.保健福祉圏域ごとに身体障害者のグループホームの設置目標(数値)と予算付けを行い。10年計画を立てて三年おきの見なおしをするなど踏まえて促進すること。
グループホームの設置は、「障碍」者の自立生活の保障と地域コミュニティ(交流)の拠点とし、パソコンを活用した仕事も可能性も追求できる。また、生活支援供給にしても効率性が求められる。ホームは入居者の自主運営とする。
3.過疎地優遇策
・移送サービスやコミュニティーバス等の補助金制度を具体化すること。(10年計画)
・支援費事業所立ち上げの貸付金制度をはかること。
4.一般財源化された市町村障害者支援事業に関する県独自の補助制度化を図る。
・保健福祉圏域ごとに1カ所設置し、生活支援を実現すること。
5.バリアフリーからユニバーサルへの取組
1)ユニバーサル特区の申請を国に行い事業化する
2)建築設計関係者・当事者を交えた委員会の設置(政策検討・提起機関)
3)「障碍」当事者の参画を得て、チッェク機関の設置(審査・相談室等の設置)建設関係者、「障碍」者団体からの委員で構成し、具体的な調査・点検・リフォーム相談については当事者団体へ事業委託すること。「障碍」当事者団体は、そのための研修を行い専門職を養成しこれに当たる。
4)公共交通機関のバリアフリー及びユニバーサルへ改善するための補助金制度を図ること。
5)心のバリアフリーを目指し、「心のバリアフリー解消プロジェクト」を推進(啓発・広報)すること。プロジェクトには当事者の参画を得て行う。
6)県・市町村の機関で、各種「障碍」者関係施策を検討する委員会への委員の構成(選出)については見なおしを行い、各団体の協議の上、適切な職務が遂行できる者を選出できるように図る。
7)以上の事業を円滑に図るために、各「障碍」者団体が障碍の種別を超えて、協働協議できる環境と運営に係る具体的な支援策を緊急に図ること。(福岡県障害者協議会の再編と育成・障害者基本法に基づく「障碍」者団体の支援)
以上は、提出期間の関係で、大雑把な提起となっています。具体的な事業プランについては、詳細な施策検討の意見交換の場で、再提案したいと考えます。参考資料として、厚生労働省が主催する「支援費制度」及び「障害者の地域生活支援の在りかたに関する検討員会」で提出されている資料を添付致します。
(『わだち』No.123に掲載)
新福岡県障害者福祉長期計画及びふくおか障害者プラン(前期)
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