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バリアフリー点検活動



バリアフリー点検活動   3     ページ
 障害のある人の航空機の利用等に関する問題点
 日時 2001年10月7日(日)
 場所 福岡市 福岡空港
 主催 全国脊髄損傷者連合会 九州ブロック連絡協議会

 近年、急速に障害のある人の利用頻度が高くなってきた航空機や空港等の利用について、見直すべき問題が山積みしています。今回、交通バリアフリー点検活動で福岡空港をチェックすることにより、障害のある人の航空機等の利用に関して、抜本的な見直しが必要であることが明らかにされました。
 障害のある人に対する航空事業者の対応は必ずしも、正当な乗客に対する対応とは呼べないものがあります。時には安全性が強調されるあまり、障害のある乗客に対して慇懃無礼な態度で権利の制限や自由の制約を強いることすらあります。そこで、今回、障害のある人の航空機の利用等に関する問題点を例示列挙して見ることにしました。

T.空港係員の接客態度に関して
@チケット発行システムについて
 チケットを購入する際に、必要以上に障害名や部位を尋ねられたり、身体の状態を聞かれたりすることがある。仮に障害者割引の適用に関連してのことであれば、障害者手帳の提示を求めればよいことであり、窓口で直接障害名を聞く必要はないと思う。
 例を挙げれば、起立ができるか、また、支えれば歩行は可能か等と尋ねれば、全く立てない、歩けない等の、応答があると思う。

A事前の通知・登録、待ち時間等の問題
 ある航空会社では、搭乗当日に直接カウンターに来るのではなく、事前にプライオリティ・ゲストセンターへの登録を要請している。円滑な利用やサービスを求めて事前に連絡をするのは利用者側の判断に任せるべきであり、航空事業者側の都合から一方的に求められるべきものではない。
 空港に入る時間も「特別旅客」の名の下に通常より倍近い時間が要求される。具体的には、国内線では1時間、国際線では2時間前にチェックイン・カウンターに行かなければならない。手続き等で一般乗客より多少多くの時間が必要なことは理解できるとしても、一律的に搭乗時間の指定を求められることはまったく不合理である。

Bチェックイン・カウンターでの対応に関して
 ここでも身体状況に関して不必要と思われることを尋ねられることが多い。航空機内でのサービスに必要なことであれば、その旨を明確にして、身体の状況を聞くべきである。また、カウンターでもっとも大きな問題点は、車イスの乗り換えを強制されることである。日常的に使用している車イス、電動車イスは、車イスの使用者にとっては、身体の一部のようなものであり、どうしてもやむを得ない時以外は離れたくないものだ。まして、長い通路を身体に合わない車イスに乗せられて運ばれることは苦痛だと思う。車イスの格納に時間がかかることで、早めに別の車イスに乗せ換えておこうという業者側の都合で乗客に苦痛を強いて良いということにはならない。
 また、事業者の用いる車イスのシートは固く脊髄損傷者には不向きである。更に、移乗し易すいように改善の必要もある。

C付添人の有無による搭乗制限
 障害のある人の航空機利用に際しては付添人の同行を絶対的な条件にする航空会社もある。付添人がいないということで搭乗を拒否されたケースがある。具体的なものとしては、車イス使用の障害のある人が友人と一緒に海外旅行に行き、帰りは一人で帰国しようとした際に、搭乗を拒否された事例もあるという。
 また、車イス使用の障害のある夫妻が子供連れで航空機を利用しようとした際に、同じように搭乗を拒否され、付添人の同行を求められた話も聞いている。今後、ケースバイケースで単独搭乗できるようにすべきだと思う。

D航空機一機あたりの搭乗人数制限
 車イス使用者が団体で航空機を利用しようとする場合、航空機の非常事態に備えて一便に利用できる人数を制限している会社が多い。航空機の緊急脱出口の二倍以内を制限人数としている場合が多いとのことだが、スポーツチームの移動や団体旅行等の集団搭乗の際にトラブルになるケースがある。
 一便6人〜10人程度搭乗が妥当だと思うが、乗り降りの時間等や非常事態の避難処置を考えると止む負えない点がある。また、団体行動の場合は事前打ち合わせ等、団体側も留意すべきであり、解決策が待たれる。


U.座席等の機内設備の問題点
@トイレ等の設備に関して
 航空機においてもっとも大きな問題は、先ずトイレの狭さがあげられる。機内用車イスでトイレの場所までは行くことができても、便器への移乗に介助を必要とする場合には、トイレ利用は無理である。そこで、事業者の合理的配慮義務として、トイレスペースの拡大が図られる必要があると思う。
A障害のある人の座席の指定及び対応
 車イス使用者に指定される座席は、通路側に面する座席の肘掛けは跳ね上げ式にする必要がある。肘掛けが固定式の場合には、肘掛けを超えて移乗しなければならず、身体全体を抱えあげる介助は負担が大きく危険である。 
 以前は障害のある人の座席は一番窓際の場所とするとなっていたと聞くが、昨今は、利用者の意思が尊重され、窓際、通路側どちらでも選べるようになっている。ただし、車イス使用者が二人横に並んで座ることは原則的に認めないとのこと。


V.約款・規約の見直しと法整備
 車イス使用者をはじめとする障害のある人に対する基本的な対応は、航空事業各社の約款等で定められている。付添人規定や一機あたりの障害のある人の搭乗人数などが定められており、その内容には、搭乗拒絶など障害のある人の権利を制限し、人権侵害になりかねない規定も含まれている。
 航空機の安全で円滑な利用と障害のある利用者の意思の尊重を保障するには、「航空業者アクセス法」といった特別法の制定が必要だ。更に、法策定の過程には、当然に障害のある人が参画した法制定に対する検討が不可欠であると考える。
以上(福岡支部・久保 親志)


(福岡空港送迎デッキにて、空港チェッカーが全員集合!)

広報誌「わだち」No.110より)



システムを動かす人間変革運動を

福岡県議会議員 入江 種文
   (障害者福祉推進福岡県連絡会議会長)

 日時 2001年10月7日(日)
 場所 福岡市 福岡空港
 主催 全国脊髄損傷者連合会 九州ブロック連絡協議会

 10月7日、地元では校区体育祭や運動会、剣道やソフトボール大会などの行事が終日目一杯入っていました。議員とはさもしいものです。こうした行事は選挙民と一緒に汗水を流し、お互いに楽しみ、友好を深めることができる絶好のチャンスでもある訳ですから、そちらを優先する方が得策ではないか、と正直思っていました。

 しかし、日頃からノーマライゼーション社会をつくろうと主張している身であることを振り返ると、福脊連の皆さんが九州ブロック展開で交通バリアフリーチェックを行われるのに参加することこそ、私の大事なこの日のテーマではないかと言う思いに至りました。早速、ご案内いただいた各行事の皆さんには事前にお祝いのメッセージなどを送り、出席をお断りしました。

 当日は早朝の所用を済ませ、一番近いアクロス一階の集合場所へと急ぎました。私は2班に入れていただき、地下鉄天神駅から福岡空港をチェックリストに基づいて点検しました。

 その中で特に印象的だったのは、航空会社によって対応が様々だった事です。A社では搭乗手続きを含め、懇切丁寧なサポートシステムができていました。ところがB社では障害者を「お荷物」とでも思われるような扱いで、それは「自立」したお客様オンリーと言うかのような対応でした。接客のチーフの方が出て来られましたが、カタカナ語をあえて使っているかのような「言い訳」だらけで、短気な私にはたまらない対応でした。それとは対照的に障害者の立場を理解していただきたいと言う当事者の訴え、それは見事なものでした。

 どの会社もシステム的には巧くサポートできるものとなっていたのではないかと思いましたが、要はそのシステムを人間が動かしていくと言う事を忘れてはいけない、と改めて考えさせられました。自らをつくり変えていく「人間変革」こそがこれからのキーワードだと思います。

 国際都市・福岡とは言うけれど、まだまだこの地にはバリアがたくさんの街でしかないということを、みんなで汗水流しながら知る素晴らしいタウンチェックでした。これからやるべきことが又新しく見つかりました。仲間に入れていただき、感謝しています。

広報誌「わだち」No.110より)



 第一回交通バリアフリー法に関する
九州ブロック統一行動に参加して
 北九州支部 吉田 清勝

 日時 2001年10月7日(日)
 場所 北九州市 JR中津駅
 主催 全国脊髄損傷者連合会 九州ブロック連絡協議会

1.駅・車両について

@小倉駅、門司港駅はホームが低く、車両とかなりの段差が生じます。特に普通電車とは50a程度になることもあります。

A車両によっても高さの差があるようです。
 普通・特急を問わず古い型の方が高く、新型が低いようです。(行橋駅、中津駅は「かもめ型」「ソニック型」特急ではほとんど高低差はありません)

2.駅員の対応・駅相互の連絡について

@新幹線と在来線等、会社が異なる場合に連絡が悪いケースが多々あります。極端な場合、同じ駅(小倉や博多等)内でも相手の連絡先を知らず、走って知らせに行くという原始的な対応をするケースも経験してます。(このため、私は事前に利用予定駅の電話番号を携帯電話に登録します。)

A行程が不連続の場合(途中で航空便を利用したり)や、複数日にまたがる場合出発時に全行程を伝えていても、連絡されてないケースがあります。
往路/中津−(在来線)→小倉−(新幹線)→新大阪
帰路/関空−(航空便)→福岡。博多−(在来線)→中津
という行程で、切符購入時と出発時に2度も全行程確認させておいたのに、帰路の博多駅には連絡されてないケースがありました。

 JR博多駅の言い分は「乗車駅から連絡がない」とのことで、彼らの言う「乗車駅」とは「旅行の出発駅」という意味でなく、「当該列車への乗車駅」と認識してるフシがあります。


広報誌「わだち」No.110より)

 筑豊支部 下川 厚子

 日時 2001年10月7日(日)
 場所 直方市 JR直方駅〜
 主催 全国脊髄損傷者連合会 九州ブロック連絡協議会

 第1回交通バリアフリー法に関する九州ブロック統一行動についての感想。

 まず、こういった取り組みをする事が初めてだったので、計画の段階から(私達3班)少し無理が有ったように思っています。(私と早原さん、共に世間知らず…切符の買い方からよく分からず、時間的にロスが大きかった、点検の時間を30分しか取ってなかったので、乗り継ぎするのがやっとだった)

 直方駅から折尾駅、赤間駅に着いた時は連絡がよかったのか職員の対応が大変よく、びっくりした。(赤間駅は駅舎がべつで若い駅員さんに突然でもこんな風にしてもらえますかと訊ねましたら、小さな声で出来る限りはと、答えがありました)

 福間駅に着き駅員さんが全く知らん顔で、改札が狭くて通れないのを見てもこちらから言うまで部屋から出て来られなかったのと、再び乗車のため改札まで行った時もこちらが言うまで見ても知らん顔されたのには唖然とした。

 後は古賀、博多駅と対応はまあまあでしたが、博多駅で階段昇降機を使わず駅員さんが人力で車イスを降ろされたのにはガッカリした。(その方が早いのかも知れないが)。

 全体を通して私達車イス利用者に対する(障害者といってもいいかも)理解みたいなものは、行政ではなく一般の人たちは持っていると感じた。

 福岡市青年赤十字奉仕団 A・M

 日時 2001年10月7日(日)
 場所 福岡市 地下鉄天神駅〜
 主催 全国脊髄損傷者連合会 九州ブロック連絡協議会

 今回、私は「交通バリアフリー法点検活動」に参加させて頂いて、障害をお持ちの方々が、移動される時の大変さや困難さが身をもって感じる事が出来ました。

 私は、地下鉄天神駅〜福岡空港駅までの点検活動を行いました。駅によってホームと電車との間隔の高さが違い、車イスで電車に乗る事の困難さや、切符を買う時にはボタンの位置が高くて手が届かなかったり、改めて障害を持つ皆さんの困難さについて感じ取る事が出来て、考えなくてはいけないと思う時もありました。しかし、単に電車に乗る事が困難というだけではなく、障害者用トイレの使いやすさや清潔さも問題でした。電車を降りてからホームまでの距離が長く不便だったり普段の私には気付かない事まで、今回の点検活動でチェックする事が出来たので、私自身にとっても大変勉強になりました。

 そして、援助される側と、援助する側においても、言葉かけや接し方一つで相手の方は、安心する事が出来るのだと言う事を改めて感じました。例えば、車イスに乗っている方と、一緒に坂道を上ったり、段差になっている所を通る時には、「坂道なので気を付けて下さい」や、「段差の所を通りますね」などの言葉をかける事で、相手が不安にならずに、安心して一緒に通る事が出来ます。

 現在の社会において、障害者の方が利用しやすいために、物理的バリアが改善されている面も多くあります。その反面で目に見えにくい心のバリアもあり、まだまだ考えなくてはならない面が数多くあるという事を、改めて実体験で感じる事が出来、大変良い勉強をさせていただきました。

 今回、参加させていただき自分自身で学んだことや、実体験をもって感じ取る事が出来た事を忘れずに、自分自身の課題とし、がんばりたいと思います。

 福岡県立大学 S・Y

 日時 2001年10月7日(日)
 場所 直方市 JR直方駅〜
 主催 全国脊髄損傷者連合会 九州ブロック連絡協議会

 先日のバリアフリー点検では、各駅の対応の差に大変驚かされました。駅長さんはじめ、駅員さんが快く協力して下さる所もあれば、車イス使用者を見ても見て見ぬふりの所もあり、正直言って全ての道程において快適な乗車ができたとは言い難いです。今回は点検が目的であったためJRでの旅を楽しむというわけではなかったのですが、これがもし普通の旅行だったら、せっかくの楽しい雰囲気も台なしになってしまうのではないかと思いました。

 また、ソフト面がいくら充実していてもハード面の不整備は補いきれないことにも改めて気付かされました。駅の階段はもちろん、電車とホームとのすき間や段差がかなりある点など車イス利用者の方が一人で利用できない部分が多く見受けられました。昇降機も確かに便利なのですがやはりエレベーターの方が安全に速く移動できるのでベストだと思います。券売機の利用しにくい点も気になりました。券売機や改札口など、車イス利用者の方でも余裕を持って利用できるようにもう少し低めに設置したり、スペースを広く取ったりするなど今後は検討して頂きたいです。そして、車イス利用者の方だけではなく全ての人々が使いやすい駅や電車になることを期待しています。


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