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出前福祉講座


出前福祉講座活動   3       10 11 ページ
総合的な学習『やさしい町っていいな』
 日時 2002年2月20日
 場所 北九州市 上津役小学校 6年生
 下記が、去る2002年2月20日北九州市立上津役小学校に於いて、私がお話しを致しました始めから終りまでです。

 この話しのきっかけは、6年生の孫が、ふと家のおじいちゃんは一生車イスで歩けない事を、先生に言った事がもとで、数日後に改めて先生から講話のお願いがあり、下記の要領で宜しくお願いしますと予定表を貰いました。

 始めに先生に前もって話していました。それは私が車から降りるところ、又終わってから車に乗るところも生徒に見てもらった方が、話しの内容良く分かるのではと体育館の外に集まってもらい、駐車場のスペースの広さの事を説明しました。

 尚、3日ぐらい余裕があったので、予定表にそって原稿を書いて持っていきました。お話しの内容に大里さんの、大里流出前講座を参考にさせて頂き大変助かりました。


〈予定表〉
総合的な学習『やさしい町っていいな』予定表

  第6学年 児童数93名
  講師名・熊谷敏彦(福岡県脊髄損傷者連合会北九州支部長)

1、日時・平成14年2月20日(水)14:15〜15:00
2、場所・八幡西区上津役小学校 体育館
3、内容
 T.熊谷さんの紹介
 U.お話し・車イスで生活するようになって、体験談。*苦労*困っている事*町や市に対する願い*子どもたちに考えてほしい事
 V.質問・熊谷さんに聞きたい事
4、その他・時間は30分程度で、その後、子どもたちからの質問に答えてください。子どもたちの今後の学習に役立てるために、市や子どもたちに期待する事などを中心にして頂ければ幸いです。当日送り迎えなど、ご質問が御座いましたら学校に連絡してください。よろしくお願いします。

1.日時 平成14年2月29日(水)14:15〜15:00
2.場所 上津役小学校・体育館
3.内容 
 

T.自己紹介
 生年月日/昭和9年8月24日生、朝倉郡宝珠山村から昭和35年(25歳)に八幡西区へ引っ越して来る。お仕事は大工さんでした。

 家族構成・叔母ちゃんに長男夫婦とAちゃん・Bちゃん・Cの7人家族それに鶏が12羽・小鳥5羽・熱帯魚のグッピーが沢山増えています。要る人が居たら差し上げます。

U.お話し

【車イスで生活するようになって】

(理由)受傷年月日・昭和53年5月11日・43歳、場所は大平緑ヶ丘団地の分譲住宅建設中に屋根から転落し、脊髄(9から10番)を脱臼骨折、例えようも無い物凄い痛みを感じその瞬間から、下半身がまったく動かない、脊髄損傷(車イス障害者)になり、車イスでの生活を余儀なくする事になりました。

 今67歳ですからまもなく24年にもなります。まだ皆さんは生まれていない時、長男が高校生で、次男が中学生、末の娘が小学校の5年生の時でしたが、みんな上津役小学校を卒業しています。

 何時誰がどこで障害者になるのか分かりませんね。おじいちゃんもまさか、車イスの障害者になるとは思いませんでしたね。(余談、清納団地の件)それから障害者といっても、車イスの人、目の見えない盲人、耳が聞こえない言葉が喋れない聾唖者、他にも知的障害者、私よりもっとお年寄りの方もある意味では目が薄くなったり、耳が遠くなったりして不自由になる訳ですからある意味では、障害者と言えますが、それを言うと嫌がるお年寄りの方も居られますから、気を付けて下さい。

 又、車イス障害者と一口に言いますが、これが千差万別です。それは障害を負った箇所により違ってきますが、私達と同じ障害者は、首のほうから頸椎1から7番、胸椎1から12番、腰椎1から下に行くほど、状態は良くなります。おじいちゃんは丁度おへその所を骨折しましたので、脊損の標準と先生は言ってました。上の方を特に首のところをケガ(骨折)された人達は、腕に力が無く指も充分に動きません。本人の努力も多少はありますが、その方たちは努力しても力はつきません。それでも動かしていないと直ぐに固まってしまいます。私たちの会、支部(50人)の中にも、自宅で生活をしている人、自宅に帰れないで施設や病院生活をしている人も居られるし、又、元気な人も沢山居ます。作業所や会社で仕事をしている人、中には車イステニス・車イスバスケット・車イスマラソン・車イスゲートボール等あらゆるスポーツをやっている方も居ますが、その方たちは、毎日人に言えない努力を積み重ね、鍛えに鍛えて大会に出ていると思います。(時間があれば自分のこと)

【体験談】

[旅行で四国に行きの件]
瀬戸大橋が完成してまもなくの出来事。ホテルの人が障害等級を1級と7級を間違えて迎えてくれた事。(言葉の行き違いで本当に困った)でも結果は楽しかった。 

[山口のマラソン大会の件]
タイミングベルトが切れた事。(知らない所で親切にされた時の嬉しさ) 

[大分国際車イスマラソン4年出場]
(日頃の努力の大切さ)

[京都駅伝]
(責任の重さを感じる)

[ゲートボール大会開催(主催)をする](お世話をする大変さ、案内から報告書・御礼まで)

【苦 労】

 特に障害者になりたての頃は、大変な苦労でした。やはり、オシッコのしたいのが分からないので、お漏らしするし、大便ウンチもわからなので失敗ばかり、頭も体も大人なのに大小便は赤ちゃんですから情けなかったですね。特に下痢気味の時など、絶対外には出られないんです。でも長い間にそう言う失敗を重ねて行くうちに、自然と要領が分かってきて最近は失敗も少なくなってきています。(規則正しい生活をする事の大切さ)

【困っている事】

 これは沢山あります。ここで少し、学校の建物を思い出してください。今回おじいちゃんは学校からお話しを頼まれて大変困りました。分かりますか?それはお話する事ではないんですよ。★分かる人?坂道、段差、階段、そんな時どうしたら良いと思いますか?今日はおじいちゃんを皆で抱えてあげてくれたので来れましたね。本当はスロープやエレベーターがあれば一番いいんだけれど。又、雨の日は大変困るんです。今見られたでしょう車から降りるのに時間が掛かり濡れてしまいます。そんな時傘をさしてくれたら助かりますよ。皆で出来る事を手助けすれば良いと思います。それが優しさではないでしょうか。

 最近は良くバリアフリーと言う言葉が叫ばれて、駅や公共の建物にスロープやエレベーターが、作られていますがまだまだ無いところのほうが多い。そんな時に皆で手助けすれば、いや手助けばかりではありませんよ。

 日頃自分たちが気を付ける事で、大変役立つ事があります。点字ブロックというものを知っていますか?役所や郵便局などに良くありますね。あの点字ブロックの上に、自転車とか車を平気で置く人が居ます。さぁそんな時盲人の人が来たらどうなるでしょうか?そのような事をしない、皆が気を付けてちゃんとマナーを守る事で、障害者やお年寄りの人が助かっている事が沢山あります。

【車イスマーク】

 この車イスマーク知っていますか。役所・スーパー・病院でよく見かけますね。あれは何のためにあると思いますか?あれは車イスの人の車が止める所なんです。特別に幅広く作ってあるんです。今日おじいちゃんが車から降りるのを見たので分かりますね。それが最近は普通の人がよく止めるんです。入り口に近いから、あそこに止められたら、車イスの人は本当に困るんです。他には止めれる所が有りません。皆さんのお父さんやお母さんが気づかずに止めたときは、皆さんが注意してくださいね。

 トイレにも車イスマークがありますが、車イスの人は広いスペースが必要なのです。でもこちらはお年寄りの人や、杖をついた人も利用しています。元気な皆さんは空いているからといってむやみに使用しないで下さいね。

 そう言う小さな手助けや気遣いから、本当にやさしい町になって行くのではないでしょうか。

【最後に皆さんに努力してほしい事】 

 1番目にお世話になって生きている事。世の中に自分だけで生きているのではない。(人や物の世話にならねば一日も生きていけません)特に(親のお世話になって生きている)と言う事。

 2番目に大切なことは、相手の立場にて物事が考えられるかと言う事。人を苛めているけれども、もし自分が苛められたらどうだろうか。人の物を盗ったけど、盗られた人の気持ちはどうだろうか。俺の気持ちは誰も分かってはくれない。でも自分は人の気持ちを理解しようとしただろうか。自分だけの事ではなく如何に他の人の立場になって物事が考えられるか。(相手の話を良く聴くこと)

 3番目に、物(限られた資源)を大事にする事。使った物をほったらかしにしない。後始末をきちんとする。そうすれば感謝の気持もちが湧いてきます。(使い捨ての世の中)

 それと挨拶も大事です。何時も元気で明るい挨拶。(減るものではありません)

【言い忘れた事】

 一寸難しいかな?6年生も残り少なくなってきましたね。もう直ぐ中学生ですね。頑張って下さいね。
 しかし障害者にむやみに頑張ってとは言え無いんです。例えばウルトラを私がする。(これは便利です。少しの段差はウルトラをする事によって越えられますから)これをあの人が出来るからあんたも頑張りと言えないんです。

 それは障害のレベル(程度)が違いますから、まもなくパラリンピックが始まります。北九州市で5月ですか世界車イスバスケット大会が始まりますが、あんなになるまでに物凄い練習をしていると思いますが、凄いですよ。彼等は本当に障害者とは思えない元気ですよ。あんな人の真似はいくら頑張っても出来ません。皆さんもそうでしょう。この間の校内マラソンで、早い人は沢山練習しましたか。遅い人が猛練習したらマラソン選手に成れますか。でも皆さんにおじいちゃんはこの間の校内マラソンの時、頑張れと応援しましたね。皆さんは、まだ若いから頑張ればずいぶん違ってきますから。それが障害者の人によっては、差別や軽蔑になる場合がありますから気を付けて下さい。

【最後におじいちゃんからお願い】

 今は車社会と言われ大変車が多くなってきました。最近は若い人が交通事故などで、おじいちゃんの様な車イスになる人が増えていますよ。一度車イスになったら、一生車イスに乗らなくてはなりません。現在の医学では治らないのです。皆さんも学校の行き帰りには無理な飛び出しなどしないように、車に充分気を付けてくださいね。

 今日は、おじいちゃんの長い下手な話しを静かに聞いて下さって有難う。これからも気軽に障害者の人達に声をかけて下さいね。そしておじいちゃんとも仲良くしましょう。終わります。
V.質問・熊谷さんに聞きたいこと
質問Aさん/熊谷さんは、トイレやお風呂はどうしていますか?

答え/おじいちゃんのお家はトイレもお風呂もおじいちゃんが使えるように広く作っていますので、おじいちゃん一人でできます。

質問Bさん/熊谷さんは、車イスになってよい事がありましたか?

答え/車イスになってよい事は、考え方にもよりますが、おじいちゃんは車イスになった為に、大分の国際車イスマラソン大会や京都での各県対抗の車イス駅伝、又福岡県であった国体に出場出来た事ではないだろうか。勿論そんな大会に出る前には一生懸命に練習しましたよ。毎朝まだ皆が休んでいる頃から起きてこの上の市ノ瀬の峠まで車イスをこいで登っていました。今はもうやめていますが、車イスになっていなかったらこんな経験は出来なかったでしょうね。他には多くの車イスの人と友達になれた事ぐらいかな。

質問Cさん/熊谷さんは、車イスになって何を望んでいますか?

答え/望みはたくさんありますが、今は早く町全体(北九州市)がバリアフリーになって、車イスの人と共に皆で「やさしい町っていいな」と言えるようになっていく事。他にはありませんか。

先生/無いようですのでこれで終わります。皆で熊谷さんにお礼を言いましょう。有難う御座いました。

※時間は30分程度でと言う事でしたが、大分オーバーしてしまいましたが、無事終わりました。

 最後に校長先生に、『わだち100号記念誌』を一冊買って頂き、先生からお土産を貰ってかえりました。

 翌日、校長先生から講話の御礼と学習会実施報告書を、先生がわざわざ持って来られ近いうちに、生徒に感想文を書かせて事付けますとの事でした。その後まもなく大勢の生徒から感想文を貰いました。(熊谷 敏彦)
熊谷さんのお話を聞いて
 O・T くん

 ちょっとの段差でも困るのだなぁと思いました。車からおりるときにけっこう時間がかかっていて、あれが雨の日だったら、もう外に出たくないなと思います。熊谷さんのおじいさんは、たくさん困ることがあるんだなと思いました。

 でも、国際マラソン大会に出て、新しい体験や新しい仲間が出来たので良かったと言っていたので、車イスの人でも良いことはあるんだと思いました。

 M・Y さん

 熊谷さんのお話を聞いて、いつ、どこで障害者になってしまうかなどは、突然やってくるんだと思いました。

 それに障害者にあまりがんばれと言ってはいけないというのも初めて知りました。

 そして障害者用の駐車場には、車はとめないようにしたり、点字ブロックの上に物を置いたりしないようにしようと思いました。熊谷さんありがとうごさいました。


広報誌「わだち」No.111より)



飯塚東小の出前福祉講座に参加して
 日時 2002年7月17日
 場所 飯塚市 飯塚東小学校 6年生
 去る、7月17日に飯塚東小学校への出前福祉講座に参加した。何日か前に「こう言うのがあるから、一緒に行かない?」と言われて、出たがり屋の私は、スグに参加に同意した。

 福祉講座は、肢体不自由者と、視覚障害者の方たちと合同の出前福祉講座だった。出前福祉講座というものがどんなものかも分からず、初めて参加して、感動もし嬉しくも思った。行く前に「今日は、こうやって、こうゆう風にするから」と聞いては居たけれど、何も分からない私は、ただ後ろから付いて行くだけでしたが、大里さんも、下川さんも、堂々として、どんな質問にもハッキリ答えられて、素晴らしい講座内容でした。それに子供達も皆真剣に質問し体験している様子も見ることが出来て、初めて参加した私には、まるで感動の渦の中に入った様な気分でした。先生方も熱心に、この福祉講座に取り組んである様子が見受けられ本当に今日ここに参加して良かったなと、思いつつ帰宅しました。(早原 鈴美)

広報誌「わだち」No.114より)



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