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出前福祉講座


出前福祉講座活動     5     10 11 ページ
平成15年度筑豊高校ボランティア講座
ワークキャンプに参加して
日時 2003年7月18日〜19日
場所 直方市 直方総合福祉センター
主催 福岡県立筑豊高校
 社会福祉法人 直方市社会福祉協議会
 社会福祉法人 福岡県社会福祉協議会
協力 福岡県脊髄損傷者連合会

 筑豊高校ワークキャンプは、3学年の選択授業で「ボランティア講座」を選択した生徒が、前半2ヶ月間の手話講座を学び、9月より後半の施設実習へと向かうために、前半最後のカリキュラムとして日頃なかなかゆっくり話す機会の少ない障害者と寝食を共にすることによりお互いを知ることを目的に1泊2日でワークキャンプを開催します。

 そのワークキャンプの担当者である直方社会福祉協議会の山下氏より福脊連へ協力依頼をいただき、出前福祉講座として講師派遣を推進している福脊連としては願ったり叶ったりで安部さんと下川さんと私、藤田の車イス使用者3人を講師として喜んで参加させていただきました。

 1日めは、13時30分より開会式、自己紹介、オリエンテーションがあり、今年のキャンプ参加者は5名でした。13時50分から、「障害について」という題で私が、1)自己紹介・なぜ18才の時に車イスを使用するようになったのか、2)病院に入院中の出来事やリハビリについて、3)心の葛藤・受容について、4)現在の自分、5)フォロー・障害は不幸ではない、6)ボランティアについて、7)人の役に立ちたい、8)まとめの8項目の流れにして自分の経験して今まで思ってきたことを率直に話をさせていただきました。

 話の中で「障害者だけにはなりたくない」、「障害者に生まれなくて良かった」だけが気持ちに残らないように一番気を付けています。それに自分が経験して理解していることと、それを人に伝えることととは別のことだと思い、自分が伝えたいことをどのように伝えたらいいのか、また、心を整理して順次立てて考えるという経験もさせていただきました。

 次に14時30分と夕食後の19時より参加者交流会を行いました。参加者交流会では、まず障害当時者より課題提起を5分ほど話して、その後分散会で各班(小グループ)にわかれて提起されたことについて話し合います。私はバリアフリーについて、安部さんは共生について、下川さんはボランティアについて提起して各班にわかれました。内容は、最近日常的に聞かれるようになったバリアフリーについて、我々車イス使用者にとってわずか数十cmの段差でもとてつもなく乗り越えられないバリアに感じます。それではその段差を無くしたり点字ブロックを整備すればバリアフリーな世の中になるのか?ということを話し合いました。

 2日めの19日は、朝食をすませ8時30分よりアイマスクや車イスを使用して実際に直方市街地をまわり盲人と車イス使用者体験でしたが、残念ながら豪雨になりそうな空模様を考慮して(18日は豪雨で各地に水害をもたらしました)福祉センター館内で行うことになりました。まずアイマスクや車イスの取扱い方法や注意事項を説明して、2人1組になり盲人と手引き者、車イス使用者と介助者を交互に体験していただきました。「百聞は一見にしかず」のことわざのように何回も話を聞くより1度体験することで、からだで感じることがあると思いますし、盲人の方や車イス使用者の気持ちが何となくでもわかることや、お互いが相手を思う思いやりの気持ちの大切さを感じてもらえればと思いました。

 11時より反省会・まとめとして、2日間の体験で感じたことを参加者全員が話していき生徒さんが感想文を提出して事故もなく無事終了しました。ワークキャンプにかかわった方々には本当にお世話になりました。ありがとうございました。

 最後に出前福祉講座を終えると、いつもこれで良かったのか考えます。そのときは数日後に社協の方より届けられる感想文を参考にして反省しています。これからも反省と是正を繰り返してながら、無知や無関心からくる偏見やバリアを無くす意味でも大切な出前福祉講座に参加させていただきたいと思います。(藤田 忠)

感想文・ワークキャンプで感じたこと


引率の先生にも体験していただきました Nさん

 障害者の人を見ると私はいつも「大変そうだなー」とか思っていたけど今日、藤田さんの話を聞いて考え方が変わりました。その話の内容は、私は障害者は最初はとてもつらいけれど、でも何年も経つと車イスを乗っていることが普通なんだと言っていました。高いところに置いてあるものも取りたくても取れないときは他の人に手伝ってもらえばいいかという捉え方をしていると言っていました。自分の考え方しだいでこんなにも捉え方が違うんだなと思いました。

 藤田さんは、眼鏡をかけている人は5〜6人に1人だけれど車イスに乗っている人は1000人に1人で人数の差はあるけれど人間としての差はないと言っていました。だからだから特別扱いしないで下さいと言っていました。

 私も障害者の人を見ると私たちと区別してみていました。けれどこれからは健常者も障害者も一緒の人間だから特別にやさしくしたり区別したりする考え方はやめようと思いました。

 Tくん
 今回のワークキャンプで車イスの方の話をきいて、車イスの方が外に出てどのようなことを考えているかを少しだけですがわかりました。あと物理的バリアが少なくなればよいと思いました。

 2日目の車イス実習で1人では行きにくいと思うところでも2人では楽に行くことができた。でも楽にあつかうのは難しい。
 次にアイマスクを付けて2人1組を社会福祉協議会の中を歩きましたがとても不安に感じました。外で盲人の方が住みやすい環境になればよいと思いました。

 今回のワークキャンプで、いろいろなことが学ぶことができて少しよかったと感じました。

広報誌「わだち」No.120より)



ミニミニ出前福祉講座レポート

 連日、雨が降ったりやんだりしている梅雨のある日、下川さんより電話が入り、「久留米の高校の生徒さんが『せき損』について、勉強したいので、是非、伺って話がしたいのでご協力願えませんか」との申し出があり、受けることとなりました。この生徒さんは「スーパーマン」で一世を風靡したクリストファー・リーブさんのファンで、彼が事故に遭ってから今の生活を知る一方で学校の選択授業のひとつとしても「せき損」について知りたいということで福脊連・ホームページを見て事務所に連絡してこられました。そして、女の子一人で来られるというので、今、最も女性が活躍している(?)私達筑豊支部の女性の方にお願いできませんかと話があって、下川さん、早原さん、そして私(安部)の3人でお引き受けすることとなりました。

 そして、梅雨もそろそろあがるかなという7月26日(土)の午後2時に鞍手郡若宮町の下川さん宅でさせていただくことになり、その日は本当に今までの雨がウソォーのように少し暑いくらいの晴天に恵まれて、打ち合わせ等もあり、少し早めに早原さんと出かけていきました。下川さん宅に着くととても可愛らしいスイカに迎えられて、早速、打ち合わせに入り、その生徒さんからのFAXに事前に質問事項が書かれていて、これにそって進めていきましょうと話を終え、そろそろと生徒さんを迎える準備をしようとして間もなく、やって来られました。

 それぞれの自己紹介から始まっていきました。彼女は久留米の高校2年生のY・Iさんといい、清楚な感じの可愛い女の子で、FAXの質問を中心に話をしていきました。その中でリハビリについての質問があり、下川さんや早原さんはそんなに経験がなく、よくわからないということで3人の中では一番したであろうという私が筋力UPや作業療法等のリハビリ体験を少しずつ思い出しながら話をさせていただきました。そうやって話をする中で彼女は目をキラキラさせながら一所懸命に黙々と話を聞いてくれてるようでした。実際にY・Iさん自身は中学の時に近くの養護学校にボランティアに行かれたことがあるそうですが、今はまわりにそれほど障害者がいるような環境ではなく、こういうことについてよくわからないのでクリストファー・リーブさんのことがきっかけとなり「せき損」について勉強してみようと思われたそうです。

 また、話の中で「将来は何になりたいの」と聞いてみるとはにかみながら「花屋さんになりたい」と答えてくれました。前もって質問があったので、さほど彼女からは聞かれることはなく、聞くことに集中されているようでした。小一時間ほど話をしてから彼女と私達3人とそれぞれ記念撮影をして、あっという間に時間が過ぎていきました。丁度終わった頃に家族の方が迎えに来られていたようでお別れをして彼女は久留米へと帰って行かれました。

 それから彼女との余韻を残しながら、3人で話をする中で私達ばかりしゃべっているようで良かったのかなとか、少しあれもこれもと言いすぎてなかったかななどと思いを語っていましたが、私はこの日の一週間ほど前に筑豊高校のボランティア講座ワークキャンプに講師として参加させていただいたこともあり、きっかけはそれぞれ違っていても少しでもこちらの思いが伝わり、こういうことや私達のことを少しでも理解していただけるようになれば、私達にとっても励みになっていくのではないかと感じています。また、これをきっかけに「花屋になりたい…」という、今、高校2年生の彼女が、無論、進学をされるでしょうが、その後、どういうふうに変わっていくのかと考えて、何かしら心の片隅で期待をいだきながら、可愛いスイカさんに別れを告げ、帰路につきました。(安部 佳代子)

広報誌「わだち」No.120より)



直鞍消防本部・警防講習会に参加して
 日時 2004年1月19日(月)・20日(火)
 場所 鞍手郡宮田町 鞍手郡消防本部


講演する安部佳代子さん 平成16年1月19、20日の両日、鞍手郡宮田町にある鞍手郡消防本部で行われる警防講習会に講師として参加させていただきました。

 今年で9年目を迎えた阪神・淡路大震災があった時、災害弱者といわれる障害を持った方々が避難したり、震災後の生活をしていくのに非常に困り、難儀をしたと聞かれて、では、まず、障害とは何か、また、緊急時にどういう対応をしたら良いかを考えてみようということで、聴覚障害、視覚障害、肢体不自由のそれぞれ障害をもっておられる方、各1名ずつに自分達の生活の中で困ったことなどをお話ししてくださいということでした。

 聴覚、視覚の方は19日と20日とではそれぞれ、別の方がされましたが、私は2日間ともに行かせていただきました。最初は2日間のうちのどちらかというような感じでしたが、非番で交替するので全員に聞かせていただきたいということでした。講演は各々、40分ずつくらいで話をさせていただきました。どうお話しすればよいかと考えていたら、筑豊支部役員会の時に藤田広報部長より「NHKの災害弱者についての番組を録画したビデオがありますよ」ということでダビングして送っていただき、それを使わせていただきながら話をしていこうと思いました。


 当日、午前9時から始まり、通された一室では40数名の勤務明けの方々が待っていてくださり、まず消防本部の堀警防課長さんからごあいさつがあり、つぎから講演となり、トップバッターで私からさせていただくこととなりました。まず、ビデオ見ていただいてからと思い、流していただきましたが1日目では流れて10〜15分くらいのところで画像が出てこなくなり、止めていただき、途中からの話となりました。2日目はまた、止まるかなと思った場面もありましたが無事流れてホッとしました。1日目はこういうこともあって、消防の方のひとつの区切りごとにされる「起立、礼、なおれ」という号令に日頃のあまりの緊張のなさからなのかとも思いますが、いつになくあがってしまい、頭の中が真っ白になってしまって、ちゃんと話が出来ているのだろうかという感じでしたが、どうにか無事(?)に終わり、次に視覚の方が話され、最後に聴覚の方が手話通訳の方に協力していただきながら講演されました。2日目は多少の緊張はありましたが何とか号令(?)にも慣れて、少しは落ち着いてお話が出来たと思います。消防の皆さんも勤務明けということでお疲れではあったととは思いますが、一所懸命に聴いてくださいました。

 1日目では視覚の方は全盲で2日目は弱視の方が講演をされました。1日目の方はジョークを交えながら、学生時代のロープをたよっての火災訓練や実際に寄宿舎で小火があって報道では全焼したと誤報され、家族の方が心配されたことなどを話されました。2日目の方は一口に視覚障害者といっても全盲や弱視などさまざまな違いがあることや接する場合の対応の仕方を身振り手振りで話されてからご自身の体験談を話されました。


 聴覚障害者の方はお二人ともが文章が苦手で筆談の時の苦労話や昨年の飯塚での水害で同じ障害をもっておられる友人が雨が降っていても音は聞こえないのでわからなくて、雷が光ったことで気がついて、その時にはもう膝より腰くらいまでの浸水があり、ビックリして怖かったことなどを話されていました。文章が苦手ということで通訳の方が補足されていましたが、物心つくかつかないかぐらいの小さいときに聞こえなくなり、さまざまな言葉を聞いておぼえるという機会を失われるのでしかたのないことなんですよと説明されていました。その時にふと思ったのは以前働いていた頃、聴覚障害の方と話をする機会があり、少し知ってる手話と身振り手振りなどで話しをする中で筆談でも話しをしていましたが、うまく相手に通じなかったことがあるのを思い出し、今になってそういうことだったのかと気付かれました。

 私も話をする中で車イスでも一人一人の障害の程度が違うことや自分の体験、ビデオを見て感じたことなどを話の間で車イスの説明も簡単にしながら話をさせていただきました。また、ビデオを見て思ったのですが、何にしてもまわりとのコミュニケーションが一番大切だなと感じ、そのことも話をさせていただきながら、2日間の講演を無事(?)に終えることが出来ました。


 講演のあとに質疑応答もあり、皆さんがこういう機会ははじめてということもあり、遠慮されたのかもしれませんが、それでも2日目では4〜5人ぐらいの方が次々と移動の際はどうするのか、緊急時には特に聴覚の方は見た目ではわかりにくいのでどういった対応をしたらよいかなど質問をされました。アッという間の2日間でしたがお互いはじめてのことでまだまだ色々な課題があると思いますが、これを機に少しずつでもこういう機会を作っていただき、理想をいえば緊張時には障害があったとしてもそのことで時間がかかることなく、素早く対応していただけるような態勢が整っていけばいいなと思いました。命と向き合っている大変なお仕事ですがこれからもよろしくお願いいたします。

 また、急遽図々しくも写真をお願いして撮ってくださり、そして、広報部の方へ送ってくださったH課長さん、送迎をしてくださったFさんをはじめ、大切な非番の時に講演を聴いてくださった消防の皆さんお疲れさまでした。そして大変お世話になりどうもありがとうございました。(安部 佳代子)

広報誌「わだち」No.123より)



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